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全ての皮膚病について診療いたしますが、そのうちの一部を紹介いたします。 |
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アトピー性皮膚炎
基本的には、皮膚科専門医のために作られた日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎治療ガイドラインに基づいて診断、治療を行います。まず適切な外用、スキンケアが大切ですが、かゆみで眠れない場合などには内服も非常に効果的です。アトピー性皮膚炎は巷間言われているような難病などでは決してなく、標準的な治療で軽快することがほとんどです。アトピー性皮膚炎については情報が氾濫し、患者さんのみならず親御さんの心配も多いと思いますが、当院では時間をかけて丁寧に説明することを心がけています。最近は、アトピー性皮膚炎の新しい検査である血液中のTARC(thymus and activation-regulated chemokine)も積極的に測定し、患者さん自身が治療コントロールの善し悪しを判断する手助けとしています。なお、成人型アトピー性皮膚炎の重症例にはシクロスポリン内服、あるいは生物学的製剤であるデュピルマブ注射も行っています。 |
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乾癬 近年治療の選択肢が大幅に拡がりました。大半の患者さんでは外用療法としてはステロイド外用薬、活性型ビタミンD3外用薬、その混合製剤等の外用薬、あるいはこれと次ぎに述べる光線療法との併用でコントロール可能です。光線療法としては長波長紫外線療法(PUVA),中波長紫外線(ナローバンド)、さらにエキシマライト照射療法(後述)も行っています。
次の段階としては、シクロスポリンやエトレチナート製剤の内服があり、特にエトレチナートは光線療法と組み合わせる場合もあります。また、重症乾癬に対する生物学的製剤治療の相談にも応じています。なお、最近新しいタイプの内服剤(アプレミラスト)も使えるようになり、種々の事情で生物学的製剤を使えない方にも効果が期待できそうです。いずれにせよ、これらの治療については、個々の患者さんの重症度、生活パターンなどに応じて相談、選択しています。 |
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蕁麻疹・アレルギー日常よく見られる蕁麻疹はもちろんのこと、食餌依存性運動誘発性蕁麻疹(小麦類などの食後、運動すると出てくる)や、口腔アレルギー症候群(果物などをたべると、口の中がイガイガしてくる)などといった特殊な蕁麻疹にも対応します。また、花粉症は鼻と眼だけではありません。皮膚もあかくなったり、かゆくなります。蕁麻疹が消えない、何か食物にアレルギーがあるのではないか、という方は相談してください。 |
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みずむし・爪みずむしみずむし(足白癬)は糸状菌というかびの一種が皮膚に侵入して起こるものですが、まず正しい診断が必要です。足に皮膚病があると即、水虫と思っている方も多いかもしれませんが、足の皮膚病で実際に足白癬であるのは6-7割程度とされており、他は水虫以外の皮膚病です。このような場合、水虫用の薬を使っても当然のことながら治りません。当院では足のみならず白癬がすこしでも疑われる場合には積極的に顕微鏡での検査を行い、その結果はそのままモニターにて患者さんにもみていただいています。治療は外用剤とともに生活上の注意も大切です。爪みずむしの場合には以前は内服薬での治療が主体でしたが、最近は爪みずむし専用の外用剤もあり、なかなか優れた効果があります。いずれにせよ、爪水虫の診断は、爪を見ただけではなく、検査で実際に爪に白癬菌が存在することを確認するようにしています。 |
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いぼ・みずいぼいぼ(尋常性疣贅)はイボウイルスによるものですが、基本的には液体窒素による冷凍凝固方法と削りが主体になります。補助療法としてヨクイニン内服、スピール膏等で柔らかくすることなどを行っています。
みずいぼ(伝染性軟属腫)は 軟属腫ウイルスによるものであり、このウイルスに対する抗体(免疫)ができれば自然に消えていきます。スイミングスクールに通っているので摘除して欲しいという要望も多いのですが、摘除しても免疫が不完全な時期はまた発生することも多く、摘除のメリットはあまりありません。現在、日本皮膚科学会の見解では、みずいぼはプールの水でうつるものではないとして、プール時のタオル、浮き輪等の共用をさけること、プール後のシャワーをすることで、みずいぼがあってもプールは原則的に差し支えないとしています。 |
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つづらご(帯状疱疹)、ヘルペス帯状疱疹に対しては抗ウイルス剤内服を中心として、早く患部が乾くように、また早く痛みや違和感から解放されるように治療を行います。
また、帯状疱疹の予防にはワクチン接種を行っています。帯状疱疹では痛みなどのつらい症状が出ることがあり、患者さんは「かかって初めてわかる、人の痛みはわからない、何キロもやせた、猛烈な痛み、劇薬をかけたみたいに顔に水ぶくれができた」などと仰います。また一部の患者さんでは痛みが数ヶ月から数年持続する帯状疱疹後神経痛という状態になることもあります。このような帯状疱疹の有力な予防法としてワクチンがあります。日本では従来小児の水痘予防接種に使われている乾燥弱毒生水痘ワクチンが、2017年3月から「50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防」として使えるようになりました。このワクチンの接種で、帯状疱疹の罹患率の低下、あるいは罹患しても軽症で済む、帯状疱疹後神経痛からの保護が期待されます。ちなみに当院でワクチン接種した方に伺いますと、身近な人が帯状疱疹にかかって苦しんだのを見て、ということが動機になることが多いようです。50歳以上でまだ帯状疱疹にかかったことがない方は、ワクチン接種を考えてみてはいかがでしょうか。
口唇などの単純ヘルペスでも抗ウイルス剤の内服を勧めていますが、一度内服した方はそれまでの外用剤のみの治療と比較して、治り方が全然違う(早い)ということをおっしゃいます。 |
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白斑これまでは中波長紫外線の一種であるナローバンド照射が最も効果があるとされてきましたが、近年エキシマライト照射(後述)がさらに効果的であることがわかってきており、当院でもこの装置を導入し治療にあたっています。どちらを照射するかは、白斑の部位、面積などを考慮して選択します。双方を併用する場合もあります。いずれにせよ、難しい病気であることには変わりはありません。白斑の場合、効果が現れてくるまでには、エキシマライトでは最低20回、ナローバンドでは30回程度の治療回数が必要なようです。 |
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ナローバンド紫外線、エキシマライトによる治療
ナローバンドは紫外線の中で、特定の狭い波長域 (311-313nm)だけを利用する治療法です。
さらにエキシマライトは、エキシマレーザー装置と同じ308nmの光を持ち、光の強さは長波長紫外線の約100倍です。これらの紫外線照射療法では必要な波長だけを使っているため、短時間の照射で効果が発現し、副作用も少なくて済むという特徴があります。当院で導入しているエキシマライト装置(エキシプレックス)は高出力で照射時間も短く、またターゲット型と呼ばれ、病変の大きさに応じて照射範囲をきめることが可能で、顔や頭、首、手足などの美観的にも早期に治療を望む部位に適しています。すなわち、健常部位への紫外線曝露量が少なく、色素沈着などのリスクが少なく治療出来ますので、部分的な照射には最適です。病変部が広範囲の場合には、ナローバンド、あるいはナローバンドとエキシマの併用療法を行います。このナローバンドあるいはエキシマライトによる紫外線照射療法は、白斑、乾癬、掌蹠膿疱症、脱毛症などに効果があり、当院でも多数の患者さんにおこなっています。この療法の場合、週に1-2回は治療を受けていただく必要があります。なお、紫外線全般の副作用として、やけどや皮膚がんの発生があり、ナローバンド照射でもそのような可能性が無い訳ではありませんが、照射回数、照射量の上限を守って的確におこなえば問題はありません。 |
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皮膚の腫瘍
皮膚には多種多様な腫瘍ができてきます。腫瘍があれば心配なものですが、当院では色素性病変にはダーモスコープによる観察を行い、必要であれば生検を行って病理組織検査(細胞レベルの検査)も行って診断をします。治療はその腫瘍の性質によって選択肢を説明し、手術による切除、液体窒素による冷凍凝固法、あるいは専門病院への紹介などを行います。
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遺伝病皮膚科では数少ない臨床遺伝専門医・指導医の経歴を生かして、遺伝病の相談、診療も行っています。生まれつきの皮膚病や「あざ」、あるいは自分の皮膚病が子供にも遺伝するのではないかなどと心配な方は相談してください。 |
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